国土交通委員会 第8号 2009-04-09
要旨
①道路特定財源の一般財源化後の道路建設について
②安全で安心な生活道路の建設について
③ETCセットアップについて
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
今日のテーマであります道路特定財源の一般財源化ということにつきまして、まず総括的に最初お聞きしたいと思います。
今し方、佐藤委員からもお話もございましたが、道路を造るのに当たりまして、これまで特定財源と一部建設国債を充てる一般財源が充てられていたわけであります。この道路特定財源が一般財源化されますと、いわゆる受益者負担という言い方は大変に難しい、厳密に言うと大変難しくなるというふうには思います。
道路建設というのは長期にわたる国民資産になるわけでありまして、その意味では公共事業というよりもむしろ公益事業といってもいいような事業ではないかというふうに私は思います。ゆえに、こうした長期にわたる資産形成に努めるということからすると、本来は、純粋な、抽象的な議論ですけれども、建設国債を発行して資産形成に努めるというのが普通の考え方だというふうに思いますね、いろんな前提条件とかを外せば。建設国債を発行して資金を調達をして、それによって道路ができ、そして国民所得が増えて税収も増えて返済をしていくと、こういう仕組みが成り立つ本来の長期資産の形成であろうというふうに思います。
〔理事伊達忠一君退席、委員長着席〕
例えば、年間3兆円を仮に建設国債を発行して、道路目的国債という名前でもいいんですけれども、発行をして10年で償還をするというモデルを考えた場合には、年間の元利返済のための積立金は毎年1割ですから3,000億円、そして金利が2%と仮にすれば600億円、3,600億円毎年元利返済のために積み立てていくと。10年後になりますと36,000億円になるわけでありますけれども、10年後、国債残高は3兆を毎年発行していきますので30兆円になるわけですね。残高が30兆円増えると。そして、10年後から返済が、償還が始まってくるわけでありますが、10年後に、今申し上げました、積み立てていくと3,6000億円、10年後から元利返済が始まってくる。しかし、残高は30兆円のまま、返済がありますので残高は10年後から変わらないと。しかし、毎年毎年36,000億円の歳出負担増ということになるわけであります。
本来、これを建設国債で発行すれば、道路を造るということはまさにそういう形で、目に見える形で歳出負担増ということが生じるわけでありますが、これまでは様々な事情もありまして道路特定財源ということが道路建設に充てられてまいりまして、こうした財政収支の悪化というか歳出負担増ということが余り直線的には分かりにくかった、表面化しなかったということではないかというふうに思います。それゆえに、公益性とか、あるいは狭い意味での経済性ではない道路も必要だということで造ることができたというふうに思います。
ここで、道路特定財源が一般財源化されました。そして、そうなりますといわゆる受益者負担という考え方ができなくなっていくわけでありますが、しかし、今後、道路建設に当たりましては、もちろん一部建設国債等を充てられるにしても、やはり引き続き税金によって道路が造られていくということが続くわけであります。
大臣にお聞きしたいのは、本来の、いろんな前提条件を外せば、道路は建設国債を発行して造ればいいはずなのに、今後も税金を大方充てて道路を造っていくということになるわけですが、なぜそういう形になるのか、そこを是非お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(金子一義君) 今まで幹線である道路を造ろうと、そのための財源を確保させていただこうということで、昭和29年になりますけれども、特定道路財源法ができました。しかしながら、道路特定財源、これだけやはり高齢化が急速に進むという状況の中で、教育、医療、年金等々様々なものに負担を国として対応していかなければいけないということで、道路だけに特定財源を設けているのではなくて一般的なものに使えるようにしていこうということで、道路特定財源というものは今回、今日この委員会で一般財源化する、廃止するという、それを御提案させていただいた経緯であります。
ただ、そうはいいましても、我が国で残されている幹線道路、鳥取、島根ですとか、九州の宮崎県側ですとか、地域の主要な幹線としてまだまだできていない部分が幹線としてもあると。それから、それだけではなくて、やっぱり都会では開かずの踏切と言われるような高架しなければいけない、これも道路財源を使わせていただいておりましたけれども、継続事業でもやっております。同時に、子供の安全のための通学路といったようなもの、もちろん命の道といったようなものが数々残されてきている。
こういうものを着実にやはり整備をしていく、そのための方策として今回新しく新交付金というものをつくり、道路予算と併せて、新交付金を活用しながら諸課題に、そういう今申し上げたようなテーマに取り組んでいこうと。そのために国民の御理解をいただきながら建設国債を使わせていただくということであります。
○西田実仁君 要するに、税金を道路に充てていくということに加えて建設国債も一部使っているわけですけれども、私が申し上げましたのは、経済性だけでいけばこれは全部建設国債でやったって本来はいいわけですよ、国民の長期資産をつくるということだけから考えればですね。しかしながら、やはり税金を充てていくという意味合いは、私は、単なる狭い意味での経済性だけで道路を造るということではないんだということを意味しているんじゃないかというふうに思うわけなんです。
単なる経済性のみを追求するというよりも、やはり全国ある程度の平等なというか、所得を生み出すためのインフラ、これを建設していくという国が本来担うべき役割というものがあるので、これを単なる経済性だけであれば、国債を発行してそれによって収入が上がって元利返済すればそれで済む話にもかかわらずそうしないという意味合いは、私は、この道路を造るということが、本来国が担わなきゃならない全国ある程度のインフラ、経済インフラを造っていくという役割を果たす、そういう意味合いがその背後にはあるんではないかと、こう思うわけでありますけれども、その点、もう一度御答弁いただければと思います。
○国務大臣(金子一義君) その点は異存ありません。
中山間地等々における命の道ですとか、あるいは、全国の市町村合併をされましたその結果として、今まであった小中学校が廃校になって、そして隣町に通わなければいけなくなっている状況というのも全国で多々あります。スクールバスで子供たちを送り迎えをする、そういう部分、そういう道路について、雨が降ったから、あるいはがけが崩れたから学校へ行けません、下宿させますというわけにいかないんで、やっぱりきちんとそういう生活あるいは子供たちの通学にも、同様に、命の道という言葉がよく使われますけれども、高齢化が進むと、当然でありますけれども、病院にも通える、一刻も早く行けるという部分というものもつくっていく必要がある。
そういう意味で、非常に費用便益という観点からだけいえば、厳しい状況であっても地域の皆さんの意見聞きながら、地域の実情に応じて必要なものはコストを削減しながら一方でやっていくという今回評価方式も、そういう意味では非常に厳しめのものが入りましたけれども、それも少しでも無駄を排除しながら、しかし今委員がおっしゃったように、全国そういう地域の利便性、地域を支えるという観点からも必要な道路という、一言で言っておりますけれども、きちっと国と、それから地方自治体、地方と両方で責任持ち合いながらやはりつくっていくということが必要であると思っております。
○西田実仁君 まさにこの一般財源化によりまして透明性というものが高まってコスト縮減等に資するということはそのとおりだと思いますが、一方で、今大臣も御指摘されましたように、地域格差の是正というようなところも、国が担う役割としてはやはりこれは大きいと思う。国でなければなかなか全体を見通せないということがあるわけでありますので、そういう観点をこの道路の事業には入れないと、税金をこれだけ充てているという意味合いが私は逆に薄れてしまうということを繰り返し強調させていただきたいと思います。
ちなみに、ちなみにというか次の質問でございますけれども、この税金を充てるという意味合いでの話の関連で、今高速料金の大幅引下げというのが実施をされています。また、高速料金の無料化という提案もございます。先ほどちょっと御質問もありまして一応確認ですが、この旧道路公団の債務の返済ですね。この機構が旧道路公団から承継した債務について、その設立は2005年ですけれども、45年で返済するというふうになっていると思いますけれども、現状どうなっているのか。また、今、後段申し上げました、仮に無料化した場合にはそれがどういうふうな形で返済という形になるのか。それをお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(金井道夫君) 今般、高速道路料金の引下げをやらせていただいております。これは、スキームといたしましては、国が高速道路機構の債務の一部、先ほども御説明しましたとおり、全体で約40兆円の債務を負っておりましたが、そのうち3兆円を国が継承をするということで、高速道路機構の持っている債務を約3兆円軽減いたします。したがいまして、それだけ償還が楽になりますので、高速道路会社から機構に払う貸付料を減額をいたします。結果、高速道路会社の方で料金を割り引くことができるというスキームで実施をさせていただいております。このスキーム自体は、いわゆる3兆円減額をした分で割引をするということでございますので、民営化のときに決められました、民営化後45年で債務をすべて償還するというスキームを完全に守りながら実施をしているということでございます。
なお、無料化の場合は、ちょっとそのスキームが明らかではございませんが、いつも御議論いただいておりますとおり、大体2兆円強の、首都高、阪高を除きましても約2兆円強の料金収入が消えることになると思いますので、何らかの形でそれを対応する必要があるのかなと、このように考えておるところでございます。
○西田実仁君 次に、この道路特定財源の一般財源化というのは、道路をめぐる行財政システムそのものを生活者の視点から再構築するという意味合いもあると思います。
そこで、安全、安心な生活道路の建設ということで次にお伺いしたいと思います。
私、地元埼玉の川口市で一昨年の9月に大変痛ましい事故が起きました。速度規制のなかった市内の生活道路、ここに車が突っ込みまして保育園児4人が亡くなったわけであります。埼玉に限らないと思いますけど、特にこういう首都圏、あるいは地方でも中心部はそうだと思いますが、埼玉の県南地域というのは一番東京に近いところですが、この県南地域は高度成長期に人口が急増しています。ほとんど宅地造成も余り計画的にはなされていない。道路行政も追い付かず、主要な県道とか市道を除きますと、朝夕の通勤通学時間帯はもう本当に狭い道路に車と人と自転車がもう擦れ違いもままならないような状態で行き来していると。常に事故と隣り合わせと言っても過言ではない状況にあります。
この道路特定財源の一般財源化に伴いまして新たな中期計画が出されています。社会資本整備重点計画と一体化して進めていくという計画です。その中の一つに、指標として、道路交通における死傷事故率の指標というのがございます。平成19年の段階で億台キロ当たり109件の死傷事故率を平成24年にはその1割を削減すると、そういう計画になっています。
また、スウェーデンでは1997年、もう10年ほど前になりますが、国会におきまして一つの決議がなされています。交通事故で死亡する子供の数をゼロにする、こういう決議です。そこで同国では、歩行者と車を分離する原則を盛り込んだ交通政策を採用しています。
様々な専門家の方々の御意見によりますと、子供の交通事故を減らすには、交通安全教育ももちろん意味のあることではありますけれども、それ以上に歩行者や自転車に優しい町づくり、またそういう道路造りという交通環境改善政策に重点を置いた方がより効果が大きいと、こういう分析もなされております。
そこで、大臣にお聞きしたいと思います。安心、安全な生活道路の建設、人命を尊重する道路交通行政につきまして御所見を賜りたいと思います。
○国務大臣(金子一義君) 今度の中期計画におきましても、今御指摘の交通事故対策、安全な道路を造るということについては、かなり重点事項として位置付けさせていただいております。
全国の中で安心歩行エリアという地区、箇所を600か所まず指定して、これ非常に危険だというところでありますけれども、地区を指定しまして、まず優先的に歩行空間の整備、それから歩行者、自転車を優先するゾーンの形成ですとか、交差点の改良あるいは交通信号の系統化というのも含めて、単なる通学路だけでなくて、面的な交通事故対策も取り組んでまいりたいと思っております。今ちょっと600地区を指定と言ったのは、失礼しました、誤解を招きましたけど、こういう面的な交通事故対策というのを、エリアをでありますけれども、重点事項として取り進めさせていただきたいと思っております。
○西田実仁君 この川口の事故を受けて地元から国土交通大臣、当時は冬柴大臣ですけれども、お申入れがなされておられました。内容は、道路構造令を見直してほしいと、こういう内容でした。歩道を造るにしても、2メートル以上必要なんだけれども、道路が狭くて確保できないと。ですから、この歩道の幅員条件を緩和してほしいと、こういう道路構造令の見直しを求めるものでありました。
しかし、ちょっとお聞きすると、実はこの2メートルと言われているのは、別に、それぞれの地元で道路管理者が判断をして、1.5メートルでもいいという特例があるらしいですね。しかし、そういうことを市町村知らないです。ですから、わざわざ大臣のところまで来て見直しを求めてきたわけであります。こうした例はほかにも多分あろうと思っておりまして、特例規定がやはり自治体に知られていない。そのことによってなかなか歩道を造る、あるいはガードレールにしてもそうですけれども、進んでいないという面が大変に強いんじゃないかと、こう思うわけであります。
自治体に様々なこうした道路構造令の特例規定をもうちょっと周知する、そういう手だてを是非とも積極的に進めていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○政府参考人(金井道夫君) 道路構造令についてのお尋ねでございますが、道路構造令で、第11条によりまして、通常、歩道を造る場合に、これユニバーサルデザインの観点からということになっております。いわゆる車いすが容易に擦れ違えるという観点から、原則は2メーター以上と定められているところでございます。
ただし、委員御指摘のとおり、例えば、前後の区間にそんなに立派な歩道がないのにある区間だけ無理して立派な歩道を造ってもしようがないという場合も多々ございます。そのようなことがございますので、38条というところがございまして、いわゆる小区間の改築の特例ということで、地域の実情に応じて弾力的な幅員を適用できるように、今の構造令にも規定をされております。
ただし、これ御指摘のとおり、私どものちょっとPRも不十分だったところがありますが、原則の方でなかなか改築をやってしまう例が多いということでございますので、私どもの方でも委員会もつくりまして、また自治体の方々にも入っていただいて、こういう弾力的な運用が容易にできるということを周知をさせていただきたいと思っておりますし、ケース・バイ・ケースでそういう指導も十分にさせていただければというふうに考えているところでございます。
○西田実仁君 この事故現場はもう既に改善されているんです。以前はしかし中央分離帯もないところでして、速度制限もありません。したがって、60キロの走行が容認されると、そういう場所でありました。これを何とか権限を市に移してもらって、速度制限を市長としてやらせてもらいたいという特区の申請をしましたが、これは却下されております。その後、警察庁の検討委員会でしょうか、様々御検討いただきまして、生活道については30キロ以下とするような報告書もまとめたと聞いております。
今日は警察庁の方にもお越しいただいておると思います。その概要をかいつまんで御説明いただき、今後この報告を受けてどのように進めていかれるのか、これも概括的にお願いしたいと思います。
○政府参考人(東川一君) お答えいたします。
本調査研究は平成18年度からの三か年計画で実勢速度等の調査を行いまして、一般道路、生活道路及び高速道路等に区分しまして、より合理的な規制速度決定の在り方について検討を行ってきたものでございます。
今回の報告書において、主として地域住民の日常生活に利用されます生活道路における規制速度、これにつきましては、突発事象に対応可能な速度及び重大事故の発生を回避する速度という観点から、原則毎時30キロメートル以下が望ましいというふうにされております。また、規制速度を行う場合は地域住民や自治体等の関係者と協議し、その範囲を決定するほか、道路管理者と連携して道路に段差や狭窄など物理的な手法を取り入れることも有効というふうにされております。
警察庁におきましては、今後、各都道府県警察から意見聴取等を行いまして、年度内をめどに、今回の報告書の内容を踏まえた速度規制の基準、これを策定することとしております。
○西田実仁君 話題は全然変わりますが、ETCのセットアップについてお聞きしたいと思います。
先ほどの新たな中期計画にはETCの利用率に関する指標も出ております。すなわち、平成19度の76%の利用率を平成24年度には85%に引き上げようと、こういう計画でありまして、料金所渋滞の解消に資すると、こういうふうに書いてあります。
しかし、先般、私の地元の整備工場の個人事業主の方から大変な苦情をいただきました。というのは、このETCのセットアップは個人事業主には認められていないということなんです。
この事業主の方は、昭和43年から埼玉県内のある市でもうずっと事業を、整備工場を営んでおられる。当然振興会とかにも入っていて、地元に大変根差した立派な整備工場の社長さんです。しかし、個人事業主のところに行くとセットアップはできないんです。なぜできないのか。それは、この書類を見ますと、財団が決めているんですけれども、法人格がないと駄目だと言うんですよ。法人格がないと信用できない、セキュリティーレベル、技術レベル、信用できないと、こういうように書いてあるんですよ。
しかし、これは私はおかしなことではないかなと思います。単に外形的に法人格があるないということでセキュリティーレベルを測ったり技術レベルを測るというのはこれは実態とは合わないというふうに私は思うわけでありまして、いろいろ暗号化が必要だとかセキュリティーをしっかりしなきゃいけない、そのとおりであります。私は別にそれを緩めろと言っているわけじゃありませんが、セットアップできるできないを単に法人格があるとかないとかということで区切るのではなくて、実際に法人格があっても、その後、審査をしているわけでしょうから、そちらの実質の方できちんと、セットアップ店になれるかどうか、それを判断していただくのが筋ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○政府参考人(金井道夫君) 御指摘のETCのセットアップ店になる要件でございますが、道路システム高度化推進機構の方にちょっと問い合わせをしてみました。確かに、契約店の場合は、経営内容が健全で、社会的信用を有し、本邦内に事務所を有する法人の営業店であることという要件があるようでございます。理由は、多分、今委員御指摘のとおり、ETCのセキュリティー、非常に重要な問題でございますので、そのセキュリティーを確保するために経営内容の健全性それから社会的信用が非常に重要であるということから、これらの確認について、決算状況や法人の登記の状況をもってその確認をするということが合理的であるということから、この財団においては法人格を条件として定めておるというふうに聞いておるところでございます。
○西田実仁君 しかし、今申し上げましたとおり、例えば自動車リサイクル法に基づく登録業者というのは法人格がなくても個人事業主にも認められているんですよ。車両情報の管理ということでいえば、自動車リサイクル法で受け入れるというのは大変なことです。これが認められて個人事業主認められているのに、セットアップするときだけ法人格がないというのはこれはかなりおかしいと思います。
むしろ、きちっと、個人事業主であれ法人格を持っている事業主の方であれ、そのセキュリティーレベルとか技術レベルを判断する、そういう基準を設けて、その上でセットアップ店になれるなれないというのは決めていかないとこれは不公平ではないか、こう思いますけれども、どうですか。
○政府参考人(金井道夫君) 御指摘のとおり、セキュリティーを確保するために、その代わりに法人格を要請しているということのようでございます。どのような者をそのセットアップ店にすることが適切であるかについて、当然セキュリティー、非常に重要でございますけれども、御指摘のようなこともあるのではないかと思いますので、総合的な観点から、どうしたらいいかということを検討するように財団の方に要請をさせていただければと思います。
○西田実仁君 是非、新たな中期計画にもこのETC、これを普及するということを私は頭に置きながら御質問させていただいていますので、その意味で検討いただきたいと思います。
最後、自動車交通局長にも今日お越しいただいておりますが、ひとつこの自動車に関連することですのでお聞きしたいと思います。
ディーゼル車の民間車検についてお聞きしたいと思うんですね。このディーゼル車の民間車検に関しましては、このディーゼル車から排出される粒子状物質、PMですね、この検査方法が今度変わるらしいですね。従来から整備工場に備えていた黒煙測定器というので黒煙を調べる。その測定器は、今はもちろん使えますけど、来年の10月ですか、もう使えなくなると。オパシメーターという、余り聞き慣れない言葉ですけど、オパシメーターという器械がないとディーゼル車の民間車検ができなくなるというお話をお聞きしました。これは環境政策としてもちろん、どんどん車が進化していく中で、従来の検査器では検査できない、新しい器械を入れなきゃいけないと。これはよく分かります。それは正しい政策だというふうにも思うんです。しかし、これ、聞くところによると、1台もう50万も60万もするという大変に高いものでありまして、小さな町場のこの零細な整備工場、今まではずっとやってきたそのディーゼル車の車検を来年10月からその器械を買わないともうできなくなるということであります。新しい政策なんですけれども、しかしそれを担うところに対する目配り、配慮ということもしていかないと実際にはその政策は進まない、そう思うわけでありまして、このディーゼル車の民間車検で新たにオパシメーターを入れなきゃいけないという状況、これに対して何らかの支援をやっぱり国としてするべきではないかと、こう私の意見も加えまして、局長に御所見を伺いたいと思います。
○政府参考人(本田勝君) お答えを申し上げます。
今先生御指摘のとおり、ディーゼル車に関しての排出ガス規制を厳しくさせていただきました。黒煙のみならず、軽油の未燃焼成分と言っております、そういったことに対しても規制を加えさせていただくということで、この方針は平成18年に方針決定させていただきまして、さかのぼりますと、平成19年の9月以降型式指定を取った車に対しては既に新規検査、新車を製造するときから既に導入されております。ただ、継続検査ということになりますと、やはり全国3万の指定整備工場の皆さんにも御協力いただく必要があるということで、当初私ども18年の方針のときには新規検査は19年秋からでしたが、2年猶予を設けて平成21年からということに提案させていただきました。
ただ、やっぱり先生御指摘のように、新しい負担を伴う問題であるということもあって、もう少し猶予してほしいという御意見がありましたところから、平成22年の10月からと、こうさせていただいたわけでございます。その意味でも、今まで整備事業者の皆さんとも意見交換をさせていただいております。
正直、経費負担の問題につきましては、既存の資金調達に関しての自動車整備近代化資金、あるいは信用保証協会といったものの債務保証とか一部の利子補給といった手だてしかございません。これに新たに補助ということになりますと、自動車の検査の特別会計がございますけれども、こちらも大変厳しい財政事情で、正直いろいろな課題はあろうかと思います。
ただ、いよいよあと1年半で全国で導入をさせていただくわけでございますので、今日の御指摘いただきましたので、改めて整備関係の団体の方とも相談をして、今後1年半後にどうやって円滑に実施していくか、いけるか検討させていただければと存じます。
○西田実仁君 是非御検討、お願いしたいと思います。
あわせて、ちょっと大きな話ですけれども、最後お聞きしたいと思いますが、今のお話もそうなんですけれども、今政府・与党としても一次、二次補正、本予算でも、例えば環境に優しい自動車、どんどん推し進めようと税制やり、今度は新しい対策では更にそれに助成をしようと、廃棄も含めてというようなことを考えて検討しているわけですね。車はどんどんそういう新しい形で進んでいく。今年7月にはまた三菱自動車さんですか、新しくアイミーブが販売予定と、電気自動車もどんどん進んでいくと。
こういう、方向としては正しいと思いますけれども、今申し上げたとおり、じゃ整備をするところも、新しい国の政策、また新しい成長の原動力としての環境、これをきちっとフォローアップすることがやっぱり必要だと思うんですね。そうしないと、社会全体として環境に優しいとか、幾ら進めていっても、それを直せるところはなきゃいけない、直すためにはスキルもアップしなきゃいけない。こういう全体として政策を完結していくということは、ともすると車の方ばっかりいってしまいますが、その後だれがどう直すのかという、この町場の整備工場の方々のスキルを上げていくということにもやっぱり目を配っていかないといけないと思うんですね。
こうした新しい電気自動車を始めといたしました環境に優しい自動車というような政策、これをフォローする整備工場等への支援、これについて最後ちょっと一言いただければと思います。
○政府参考人(本田勝君) おっしゃいましたとおり、最近はまさに日進月歩で新技術が自動車の分野にも進んでおります。もちろん、製作をされる、新車としてでき上がることも大事ですが、その後、使用過程においてちゃんとした点検整備が行われるかどうかというのは大変重要でありますので、私どもも、一級自動車整備士あるいは整備主任者の方々に対しての対応をする際にも、こういった新技術についてちゃんとチェックをさせていただきたいと思いますし、そのために整備関係の団体を通じて最新の技術情報を整備工場の方々にも伝わるようにしておるところでありますけれども、今後もそうしたことについての体制強化、どうしたらいいのかを更に検討してまいりたいと思います。
○西田実仁君 ありがとうございました。
終わります。